self-realization

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新たな価値創出と自己実現

働く意味を新しく、
役割と可能性を広げていく

義務的に働くのではなく、価値観を新たに創造する

社会にAIやロボットの浸透が進めば、人の労働は徐々にそれらに代替されることが予想されます。失業等の懸念がある一方、人とAIやロボットの「協働」による新たな価値創造が生まれ、長期的には生活のために働く義務的労働から解放されるなど、大きな社会変革も期待されます。DXやコミュニケーション技術により、現実空間と仮想空間にまたがる活動や複数組織に所属することも実現し、自由な働き方と活動が拡大していきます。
新たな自由時間を創造的活動や学び、社会との関わりに充てることができれば、私たちの生活はより豊かになり、自身の存在価値もより実感できるでしょう。人は組織・社会の一員として効率よく働くことを長らく求められてきましたが、今後は組織・社会との関わりの中でどこまで自己実現を果たせるか?組織と社会はいかにそれをサポートできるか?が目標となります。人がそれぞれに抱く「幸福への価値観」もアップデートが必要です。

社会格差をなくす仕組みづくり

一方、課題となるのが社会格差の問題です。AI・ロボットによる労働代替が進展し、既に一部の業種では失業や労働力の過剰が顕在化しています。仕事から弾き出される人と仕事が集中する人の二極化、さらなる格差拡大も懸念されます。あらゆる人の自由な活動を実現するベースとして、社会格差を払拭することは重要です。社会保障など公的セーフティネットの仕組みの変革に加え、これを補完する人のつながり、すなわちコミュニティをベースとする「新たな互助・互恵システム」の構築が求められます。

生涯に渡り、相互に学びあえる社会

人生100年時代、変化の激しい社会で自由な働き方と活動を続けていくには「知識の継続的なアップデート」が必要です。教育のあり方は大きく変わり、知識つめ込み型ではなく、常により良い状態を目指して自身の価値を探求していくスタイルになるでしょう。「学び」が働き方や活動と生涯に渡り一体化することで、継続的な教育の仕組みも構築され、誰もが教師となり生徒となる、相互に学びあえる社会が到来します。

How to Realize the Goals

目指す未来を実現するために

「新たな価値創出と自己実現」に向けて、MRIでは以下の実現方策を提案しています。

創造性を発揮する協調型の働き方へ

遠隔地からでも活動できるテレイグジスタンス技術(アバター)や、息遣いまで感じられる自然なテレコミュニケーション技術などの実用化が進むことで、空間や時間を選ばない働き方が可能になります。そのために現実・仮想空間のハイブリッドな経済環境の整備、国際的協調によるルール作りをしていく必要があります。
また、実現には企業の変革も欠かせません。企業の存在目的は株主利益から社会との共存へ変化し、持続可能性とインクルージョンを目指すマルチステークホルダー経営の浸透や、企業活動がもたらす社会影響のポジティブ・ネガティブ両面の可視化が求められるようになります。企業組織も任務遂行型のヒエラルキー型から、創造性発揮に適した個人やチームが協調し合うセル型へと大きく変わっていくでしょう。

互助・共助を拡充するセーフティネット

セーフティネットの再構築には、非正規など雇用形態による不平等の撤廃、デジタルシフトに対応した課税・再分配の仕組み、過剰な富の偏在や世代間格差を縮小するための資産課税などが必要です。
新たなセーフティネットは、多様なコミュニティをベースに互助・共助を拡充する必要があります。多様な支援を目的とするクラウドファンディングは、こうした互助・共助コミュニティの先行事例です。今後は地域の生活基盤や雇用の受け皿として、行政・住民・企業が協力して地域運営会社を創設することや、住民が生活に欠かせないベーシックサービスを担い合うなどの未来像も考えられます。

生涯100年学びシステムを

個人が仕事・家庭・社会参加・プライベートなどの最適なバランス(活動領域のポートフォリオ)を見出し、それぞれの活動領域でより多くの幸福を享受できる「生涯100年学びシステム」を提案します。長い人生を生きるための基礎体力をつける期間、多様な教育機関や実社会の中で知識と経験を拡充する期間、状況に応じてそれらをリニューアルする期間などに分け、生涯の学びを継続する。ICTやAIの積極活用、学校教育とリカレント教育の一体化、社会や地域で成人期の教育を広く提供する環境整備、コミュニティにおける学びの相互交換の仕組みなどが必要です。教育の重要性を社会で共有し、行政・個人・地域・産業など社会全体で教育への投資量を増やすことで「誰もがいつでも必要な学びを享受できる社会」を創っていきます。

ベースとなったMRIの未来研究